街の続編が出るの出ないのという噂からはや幾千万。結局でなかったわけですが、実写のサウンドノベル、ザッピングシステム、渋谷が舞台、などなど、このゲームは街の続編的な位置づけなのだと思います。
まずはこのゲームがどういうゲームなのか、という説明をちょびっと。通常のサウンドノベルはどのようなものか、ということを知らないのでなんともいえませんが、恐らく通常のサウンドノベルとはちょっと違ったものです。このゲームは登場人物一人の選択肢を完璧にしたところでエンディングが見れるというゲームではありません。その登場人物の人生に干渉している人物の選択肢をいい方向に導いていくことが必要となる、そんなサウンドノベルです。
たとえば私が休日をぶっ潰して自慰にふけっていたとします。そのときに突如Amazonからの宅配が襲来したせいで、心臓麻痺になってしまいました。BAD END。という一連の流れがあったとします。心臓麻痺にしないためにはAmazonからの宅配がこなければいいわけで、Amazonからの魅力的な商品を載せた車が何かしらのアクシデントに巻き込まれて家にこなければいいわけです。ここで私以外の人物をそのように行動させる必要があります。信号機にドロップキックをした衝撃で大渋滞を引き起こすとかそういうことをして私が心臓麻痺にせず、そのまま物語が進むようにお膳立てをする。そんなゲームです、このゲームは。まぁ私の物語がこのまま進んだところで、「あぁ・・・休日、また無駄にしちゃった・・・」とか自己嫌悪に陥ってBAD ENDですけども。
そんな感じで操作する人物を変えつつも物語を進めていくといったゲームなのですが、完全に街の続編、と言い切れないのは、演出のうまさがその理由です。
先ほど説明したゲームの流れですが、たとえば一人の登場人物が先のほうに進んでしまったら、多かれ少なかれ、他の登場人物の未来が読めてしまう可能性があります。街のときはそういうことが多少なりありました。しかし今回のこのゲームは1時間ごとの行動しかプレイできず、すべてのキャラクターが1時間進むと、次の1時間をやっとプレイできる、といったシステムです。このシステムのおかげでネタバレがおきないという寸法ですね。
通常のサウンドノベルは、推理だとかヒロインとうまい具合な関係になるには、とかそういうことを考えながら進めるのだと思いますが、このゲームは、この登場人物がこういう状態になってしまわないようにするためには、この登場人物がこの時間にする行動をこういう風に変えればいいんじゃないか、といったことを考える必要があります。それがまた面白いの何の。
チュンソフトの作り出すサウンドノベルはすばらしいゲームばかりですが、428はまた違ったすばらしさがあふれ出しています。ホラーサウンドノベルと違って物語りについて本気で考えているので没入度がすごいです。だからこそ、その日その日に時間を作って、1週間足らずでクリアしてしまったわけです。
まとめ。
チュンソフトが作り出すサウンドノベルが好きな人はもちろん、単純に分かりやすい物語に没入したい、といった人にもおすすめです。ストーリー的には俗に言う中二的な要素がたっぷりですが、実写なことや演習のうまさなどで、それが逆にいい味を出しています。おすすめですよ、ほんとに。